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もし女子力というものがあるとしたら

俺の経験から言わせていただくと、この世の中に「女子力」という力はどこにも存在しないよ。

ただ、女性経験が少ない男性や、恋愛経験が少ない女性の中に、幻想として存在するだけのこと。または、日常のどうでもいい笑い話の中に女子力っていう単語がネタとしてあるだけ。

 

女性力っていう言葉から連想するのは、どんなことだろうね。

気配りができて?料理がうまくて?家事がうまくて?女っぽさを失わないまま優秀で?笑顔が素敵で?女って感じの見た目をしてて?もしかしたら、化粧が派手で服がオシャレとか?

せいぜいそんなもんだと思う。まあ、低い階層で生きてると、おっぱいが大きいとか、エロい雰囲気とか、でも清楚だとか、そういう女が人気があるのは分かる。俺も底辺中の底辺で生きてたから、よーく分かる。金も仕事も社会的ステイタスも友達も、なんにもなくなれば、たいてい頭も馬鹿になる。馬鹿になれば女に求めるのは、そういう安っぽい「女子力」みたいなもんだってことも経験してる。

 

残念ながら、女子力なんてもんはこの世に存在しないんだよ。あるのは、頭がいいか悪いか、性格がいいか悪いか、生き方がまともか糞か、礼儀があるかないか、それだけ。

 

世の中には、女子力なんていう安っぽい言葉とは別に、確実に「この女性は素敵だな」って思う瞬間があるんだよね。恋愛とかそういうのと別に。この女性は魅力的だなーって静かに感心するような。

 

ある日、仕事でミーティングをしていた。それは飲食店のオーナーやマーケティングのプロの人とのセッションだった。そこにいたのは、税理士の若い女性。大きな税理士事務所に勤める会社員税理士だった。若いといっても、28歳くらいだったかな。とりたてて美人とか美形というわけでもない。身長も平均的で、ボブにした髪がつやつやして、肌が綺麗で清潔感があったことくらいかな。

 

飲食店のオーナーは、焼肉チェーンを経営している50代の男性。肉の質にものすごいこだわりがあり、その店は何より味の良さで有名だった。付け合せのキムチすら語れば数時間にも及ぶほどの、研究とこだわり。

ただそれとは別に、マーケティングや、財務の問題があり、もっと根本的なところでも店内のオペレーションとか接遇のスキル的なものや店員の教育の部分にも課題があるということがあって、いろいろな分野の専門家が集まって話し合いを持っているところだった。俺もそこにいた。

 

がっちりした真面目な話が展開されて、時々ぴりぴりするような雰囲気で議論をしていた。脳が腫れるほど考え抜いた。

そんな雰囲気で数時間たったころ、コーヒーを淹れ直して全員で飲んでいた。そのとき、焼肉を食べるときのごはんの硬さとか温かさ、漬物のバランスについて語り始めた。やっぱりすごいこだわりがあるんだなってみんなで話に吸い込まれていたそのとき、若い女性税理士が、「あ、お腹鳴っちゃいそうです」って言ったんだよ。

 

そしたら社長もみんなも、わっと笑って、ものすごく場が和んだ。社長が「そうだろそうだろ」って嬉しそうに言って。それからは、やっぱりこの店の哲学は味へのこだわりなんだって雰囲気になって、話はどんどん進んでいった。

結局、その仕事は関わった全員が上手くいき、みんなが喜んだ。

 

「お腹鳴っちゃいそうです」って、ものすごく優秀な女性が素の言葉をふと言うだけで、ここまで空気が変わるんだとびっくりした。それに、この女性は素敵だなーって感心したよ。

これが会議もそっちのけのただの会社員が言ったら、もしかしたら苛立たしい発言だったかもしれない。でもさっきまで緊張感ある議論をしてた女性が、あ、焼肉美味しそうって素直に思った瞬間の声に、みんなが和んだんだ。

 

ほんとはないんだけど、女性力っていうものがもしあるとしたら、これなんだろうな。

とてつもなく優秀であること、しかし肩肘はらずにリラックスして生きていること、アグレッシブな生き方をしているけど攻撃的ではないこと、どんな状況でも感受性を豊かなままでそこにいること。

 

ミニスカートをはいて厚化粧して、ニヤニヤして、クネクネしながら男に近づいている女は俺の周りに沢山いたけど、そういう意味ではどいつもこいつも女子力の欠片もなかった。

 

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