慇懃無礼ってこのこと

10年ほど前、俺はトヨタのアリストという車に乗っていた。

(なつきブログでは、「アキラ」はアバロンに乗ってると書かれてあったが、わざと設定を変えただけで実際はアリストだった)

 

もう6年くらい前に、真冬の雪深い日に、足回りが崩壊して地面に着いてしまいご臨終したんだけどね。

今思うといい車だったなと思うよ。燃費が死ぬほど悪かったけどこの車でいろんな経験をした。車自体の性能とか見てくれより、きっとこの車にまつわる記憶に愛着があったんだと思う。

 

この車が、ある日、ものすごく調子が悪くなった。確かあの頃、Mちゃんの家に片道600キロをぶっ飛ばして会いに行った時だった。

トヨタのディーラーに持ち込み、修理をお願いした。たぶんエンジンのセンサーの不具合で、部品交換で済むのは俺でも分かってた。

 

ディーラーで俺の対応をした男は、27歳くらいの、にやけた営業マンだった。やけに調子がいい。揉み手をするように腰を低く、忍者のように中腰で近づいてきて、やたらといわゆる営業口調で話をする。

まあ、格の低い卑屈で無能な営業マンだよ。卑屈に愛想良くするのと、感じがいいのと違いが分かってないタイプな。

 

不具合を伝えて原因と見積もりで電話してほしいとそいつに言い、その日は車を預けて帰った。

電話があったのはその次の日。

「どうも~↑○○トヨタの○○で↑ございますう~~?↑」みたいな再現不可能な卑屈な口調で電話がかかってきた。正直いらつく。

 

すると衝撃的なことを言う。車はエンジンの不調ですと。それですぐには原因がわからないので調べるにはエンジンをバラさないと分からないと。それで添加剤を入れて様子を見て欲しいと。

 

そんなに重症なのかと思いつつ、そして重症の割に添加剤で済むのかと疑問に思いつつ、車を引き取った。

店に行くとね、また卑屈っぽく、「はいどうも~?↑」みたいに忍者がやってくる。

俺は適当に、「車、もう寿命かな」と一言言い、某高級車のカタログを欲しいと告げた。すると、カタログと一緒に、なぜか新車のプリウスの見積もりを出してきた。

 

いや、プリウスは好みじゃないし買わないよと告げて、アリストに乗って帰ると、案の定治ってない。そういえば点検料も添加剤の代金も請求されなかった。

すぐに引き返し、やはりエンジンバラすならバラすでちゃんと見て欲しいと告げて、また帰った。

 

そしてまた次の日に電話があり、整備しましたと言う。これで治らなければたぶんもう買い替えたほうがいいです、と言う。

そうかと思いまた引き取ってくると、やっぱり直ってない。

 

その時も、またプリウスの見積もりを出す。これなら来週納車できます、とか言いながら。

 

あのさ、誰がいつプリウス欲しいって言ったんだよ。そう思いつつも適当にあしらって帰った。

 

しかもやはり直ってない。エンジンはボソボソで、燃費が極端に悪いし、アイドリングの回転数が異常だった。Dレンジに入れるとクリープ現象をブレーキで抑えられないほどだ。

 

そのまま近くの違うトヨタディーラーに持ち込んでみた。すると1時間程度店の中で待っていると真面目そうな若い整備士がやってきて、原因が分かったと言う。やはりセンサーがおかしくなっていて、数千円で修理できる、部品の在庫があってあと一時間位待てば乗って帰れますと言われた。

当然、交換をお願いし、結果、直った。

 

それでその整備士に言った。違うディーラーで修理を2回したんだが原因が分からなかった、と。そしたら、整備士が不思議な顔をして言った。

「整備した痕跡がないですよ」と。エンジンにホコリ汚れがあったけど、触った手の型すらついてない。整備士ならすぐ分かる初歩的な不具合で、2回も持ち帰らせることはありえないと。

「整備したってほんとに言ってました?」と俺が質問される有様。

 

それで整備してなかったであろう前のディーラーの、あの忍者に会いに行った。

また卑屈そうに笑顔で近づいてくる。

「あのさ、整備してないだろ?」そう俺が言った。忍者は顔がこわばる。

見てもいなかったんだろ。

俺はそこの店長も呼び、どうなっていたのか釈明を求めた。すると案の定、工場にはサービス入庫してなかったし、添加剤も入れてなかった。工場の裏の駐車場に一晩置いただけ。

 

なぜそんなことをしたかというと、結局プリウスを売りたかったから。代替えさせたかったから。

だから、誰がプリウスほしいと言ったんだよ。

 

結局さ、卑屈なほど腰低くして愛想よくして近づいてきて、やることはセコい小細工。小細工とも言えないただのセコい嘘。

 

この時はただこいつの人格を全否定して終わったんだけど、今思うとね、似たようなことは最近山ほどあるなあと思う。不正をしないだけで根本同じようなことがね。

 

弟子のみーくんと話していて、それよくあるよって言うんだけどね。

何かって言うと、「卑屈なほど愛想よくする子は多いけど、根本は他人に無関心で無神経ぶっこく」ような大学生や新卒の社員が多いよってこと。

 

嫌われたくない、いい人と思われたい、みんなの空気を乱したくないという思いだけが強い。強いというか、そこが一番の目的で。いつもニヤニヤ笑ってる。仲良しごっこが大好きで。

そのくせ、自分を犠牲にして相手に献身的に役に立とうとすることは絶対しない。むしろ自分のことしか考えてない。

 

若い新卒の営業マンでも最近多い気がするんだよね。これ買ってください、これ役に立ちますよって積極的に押すことは「迷惑行為」だって言うわりに、相手が欲しいとも言ってないようなものでも、自分が売りたいものしか提案しない子。

 

あのさ、それいつ欲しいって言われたんだよ?って言いたくなるんだよね。勝手に相手にはこれが一番だと決めつけて、客がもっとほんとに欲しいもの、客にほんとに役に立つものを考えてあげることは絶対しない。

客から「それはいらない」って言われると、勝手に落ち込んで諦め、もう客に連絡もしない。

「それはいらない」っていうことが、「それは私の問題を解決しないから違うものが欲しい」という意味だって考えることもできない。

自分の思いどおりにならないと、勝手にお世話を辞める。

 

結果、自分が常識はずれの、犯罪的で悪質な押し売りをしていることすら考えることもない。

 

要するに、自分勝手。ニヤニヤしながら、平気で困ってる人を蹴落とすことができる。

 

忍者みたいにニヤニヤして卑屈な態度取らなくても、「あなたに役に立ちたい」って思ってほんとに色々お世話して汗かいてくれたら、どんなに無愛想でもその人を好きになるよ。

でも、それは怖いことなんだろうな。役に立たなくても、まずいい人だと思われたい。

 

綺麗事のお題目を唱えることは大好き。

アキラブログを読んでも、綺麗なキャッチフレーズばかり拾う。

でも、それを実現するための泥臭いことはしたくない。

嫌われるかもしれないけど、相手にアドバイスするってことも絶対しない。相手にほんとに役にたとうとするより、いい人と思われることが最大の優先順位。

 

慇懃無礼ってこのことなんだよ。

 

愛想のいい、無神経な若い子がものすごく増殖してることに、全身が痒くなる思いだよ。