読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

女ゴコロが分からないふりをして、本当に分からなかったり分かっていたり

ラブレスキューもそろそろ更新したいと思います。前はあんなに毎日のように書けたのに、今は恐ろしくしんどい。理由は簡単で、直感的に文章を書かなくなったから。「蝉」なんて10分で書いたんだよな。

記憶を辿ってスケッチしてくだけの作業だったのが、どこか技術的なこと考えるようになって文章もおかしくなったんだろね。反省。

 

今日はそのリハビリも兼ねて(笑)少し20歳頃の経験を書こうと思います。ラブレスキュー番外編のちょっとゲスな話を。

 

東京の某有名な夜の街で、リッチな女性向けのデートクラブで俺は働いていた。それはラブレスキューでも散々書いてるので知ってると思う。今で言うと出張ホストと言うのかな、もちろん当時はそんな言葉はなくて、嫌な言い方をすれば男娼ということかもしれない。男芸者、男妾。

青森の田舎町で育った俺からしたら、いきなり大都会の猥雑な街角で、田舎の同世代の垢抜けない女としか遊んだことないのに、いきなり大都会のちょっとこじらせたリッチな中年女性の女心に飛び込んでいくなんて、

免許取り立てなのにモンテカルロ・ラリーでチュリニ峠のコーナーを駆け抜けるような行為だったと思う。当然、頻繁に大クラッシュして谷底に落ちてた。

 

もちろん今も、女心なんてよく分からない。知れば知るほど、理解から遠のいていくのが女心ってやつで。4000人以上の女性とセックスしても、ますます理解できなくなってると思う。かと思うと分からなふりしといて分かってしまったり、難しい。

 

10代のガキの俺からしたら、女って、

「イヤイヤ言ってるのに嫌じゃないんだ」とか

「イヤイヤ言うから立ち去れば怒るんだ」とか

「イヤイヤ言って拒絶するわりに、その気になったらすぐホテル行くんだ」とか

「セフレとアナルセックスまでしといてそれでも旦那の自慢するんだ」とか

「拒絶しといて彼氏までいて結婚の話までしといて、元カレの俺に突然連絡してきて中出ししといてまた拒絶する」とか

「昨日は好き好き言うくせに今日は嫌いなんだ」とか

そうそういうのばっかりで、俺がウツになりそうだった。同世代の女ですらそうなんだから、当時の客の中年女性はもっと複雑怪奇だった。

 

当時、俺の得意客に42歳の既婚女性がいた。旦那は大学病院のドクターで部長。本人も大手企業で役員の秘書を務める優秀な女性だったよ。いかにもキャリアウーマンって感じでね。上品な雰囲気をしていて、スタイルも良くて、今ぐらいの時期はキャメルの高級そうなカシミアのロングコートを着ていたのを思い出す。

いつも待ち合わせは新宿東口から少し歩いたところにある小さなカフェだった。会うのはいつも彼女の仕事帰りだったから、夜の7時とかそのくらい。俺は待ち合わせ時間にきっかり2分遅れていくことにしていた。

仕事帰りにそのままの服で来るその女性は、いつも丸1日仕事していたとは思えないほど化粧は綺麗に乗り、セミロングの髪もサラサラだった。20歳の俺からみても、42歳には見えなかった。せいぜい30歳くらいとか。

しかし女性の年はどんなに気をつけていても手の甲に出る。手の甲の張りや透明感には必ず年が出るんだ。その42歳の女性の手は指が長かったが、42歳の年相応の手をしていた。普段使いするダイヤの指輪がいつも光っていた。女性というのは若さの輝きを失っていくにつれて、宝石の輝きが似合うようになるんだと思いながらいつも見ていた。

コーヒーを飲んで彼女は待っているのがいつものことで、俺が席に着くと同時にコーヒーを注文し、砂糖とミルクをたっぷり入れて飲んだ。

「子供なのね」と女性はいつも呆れて笑った。俺はまだコーヒーの美味しさなんか知らなかった。

 

すぐにカフェを出て、軽く食事をするといつもそのままホテルに行った。それはラブホテルではなく、高級ホテルだった。そういうホテルを休憩のように使うという習慣を俺は知らなかった。フロントの男性は、俺の姿を全く見ることなく、彼女がチェックインしていた。フロントの男性とは顔見知りらしく、いつも雑談してクスっと笑っていた。きっと、彼女とその旦那ここの上客なのかもしれない。奥様の火遊びなんか気にしてないふりしてるのかもしれない。

そこでのセックスは、同世代の女性には全くないものだった。同世代の女のセックスが明るいテニス部だとしたら、42歳のセックスは女の闇を手探りで降りていくような行為だった。

セックスが終わると俺はいつも窓の方に歩いていった。セックスの後で高層ホテルの窓から下を眺めるのが好きだった。いつも窓に手を触れた。窓はいつも冷たく冷えていた。窓の下に広がる新宿の街は、何の音もしなかった。音もなく、黒い車が何台も走っていくのを目で追っていた。

 

俺は旦那との関係を質問するのが好きだった。ほんとはそんなのタブーだったけど。その女性は割と喜んで話してくれた。旦那は浮気なんかしたことないこと、家庭を大切にする人であること、優秀であること、若い頃は男前だったこと、今はちょっとおじさんになったこと、白髪がね目立つようになったのよ、なんて。

俺はそこで思ってた。言葉にはしなかったけど。

「金持ちの奥さんのあなたは何もかも持ってる。俺の母親が一生かかっても持てないものだらけだ。でもあなたにとって本当に欲しいものは持ってない」

そうだろ?って。その女性は俺がその商売から足を洗うまでずっと継続して使ってくれてた。少なくとも、俺はその女性が欲しがってるものは分かってるつもりになっていた。

 

俺は、こんなことがこの世界には普通にあるんだなといつも思ってた。明け方ベッドで眠る前に、明るくなっていく外の光がカーテンの隙間から差し込んでくるのを眺めながら。俺はどこで生きているんだろう、俺はずっと目眩のような気持ちに襲われていたよ。

 

その女性には今で言う女子会のようなものを開く友達がいたんだ。みんな同世代で、共通して金持ちの奥さんだった。ほとんどが専業主婦でね、習い事をするのが仕事みたいな。5人ほどのグループらしかった。

 

客の42歳の女性が、ある日突然俺に言うんだ。お仲間の1人、39歳で夫が会社経営者っていうバレエ講師に、あなた電話してみてって。なんでって俺は驚いたけど、このオンナにはこう言えば、このオンナを金づるに出来るからって。いくらでも金引っ張れる、ズブズブにセックスで狂わせることができるよって。

いやいや、いくら俺がこの仕事していても分かるよ、そんな安い官能小説じゃあるまいしありえないよって言った。その友達と俺は面識がない。それをいきなり電話しろって?しかも茶番みたいな演技をしろって?

俺はただのガキで魔法使いでもないし心理カウンセラーでもない。ただのセックスが得意なガキだ。

でもこの仕事をしてるといつも思う。どんどん「普通」の感覚がなくなってく。フィクションのようなことが現実にあって、現実にあることがすごく安っぽくさえ見えるようになる。

 

どうしてもってしつこいので、次の日の昼間、その女性の自宅に電話した。内容はまるで嘘で、安いマンガ並の台詞だったよ。詳しくはここでは書けない。

俺としては「警察呼ぶぞこのガキ」くらいに言われるのを覚悟していたけど、返事は違った。

「それ、本気で言ってるの?」

「会えますか?」

「もちろん。明日は?」

「大丈夫です」

「午後2時に教室に来て」

そして、次の日、誰もいないバレエ教室の控室で、経験したほどのないいやらしさでフェラチオされた。その日からそのバレエ講師は客になった。体の柔らかい鍛えられたその女性とは、ありえないほど激しいセックスを繰り返した。

でも俺が何か騙されているような気さえしたんだけど、バレエ講師は出会いを喜んでくれた。そして俺はさらに稼げるようになった。

 

42歳の秘書の女性は、いつもそのバレエ講師のセックスの話を聞きたがった。嫉妬するとか言いながら興奮し、ちんぽが千切れそうなほど腰を振った。俺にはその心理が分からなかった。バレエ講師は年下の俺以外は、旦那しか男を知らなかったと言うのに。それを紹介してズブズブにする42歳の女の心理が理解できなかった。

言っておくが、42歳は悪人ではない。変人でもない。ただ性欲が旺盛で、女性性の塊みたいな人であるだけだ。

 

そしてさらによくわからないことに、今度はそのバレエ講師が、女子会の違うお仲間を誘ってみなさいと俺に言った。今度は同じ38歳の専業主婦の女性。夫は当時バブルで成り上がっていた不動産開発の社長だという。その女性は似合わないブランド物に身を包んだ、今で言う中国人観光客みたいな風情の女だった。

あの女から金を引っ張るだけ引っ張りなさいよってバレエ講師が言う。俺はびっくりしたけど、それは42歳の秘書には言わなかった。そして38歳に言われたとおりの方法でアプローチした。

当然のように、電話の翌週には道玄坂のホテルで顔射していた。月に一回会う約束をして客になった。

 

ほどなくして女子会の5人のグループ全員とセックスし、全員が客になっていた。それぞれが、自分と、自分が仕向けた女だけが客だと思いこんでいたけど、全員が客だった。紹介連鎖の5人目はバレエ講師を紹介したので、俺は電話したふりをした。

 

その中の42歳だけが最後まで客のままでいた。38歳の成金主婦は夫の会社が破綻したのと同時に連絡がつかなくなった。バレエ講師はその翌年の年末、乳がんで亡くなった。結局は42歳の清楚な秘書の、お戯れに付き合った気さえした。そのグループで俺が稼げた金は莫大なものだった。あんな金は今の俺ではとてもじゃないが稼げない。時代もあったのかもしれないが、それは女の情念というか嫉妬というか、よくわからない女ゴコロの負の捨て金だったのかもしれない。

あの時のあの空気感と、歪んだ心理は、今も言葉で表現できない。女子会を竿姉妹にしてしまうあの中年女性の群集心理。しかもそれは、自分の子供でもおかしくない、ガキ時代のアキラだ。

 

当時42歳だから、今・・・67歳か(笑)そう思うと気持ち悪いな。

あの都会の明るい街の小便臭い物陰で、女の情念でサンドバッグになりがら生きているアキラという子供がいたんだ。

 

www.youtube.com