出来婚と不倫の遠からぬ因果関係について

18歳の時に下衆な男娼になって、たくさんの既婚の中年女性に買っていただいて育った。文字通り、女性たちのお陰でメシが食えた。

22歳で男娼を辞めてからも、常に既婚女性と縁があって、今で言う不倫になったことも沢山ある。不倫と呼べないなら浮気、浮気と呼べないならセフレ。既婚女性の密かな欲望のお相手をして今の年になった。

俺が若かった頃は、既婚女性はみんな年上だった。22歳の時に29歳の美人妻がいたり、27歳の時に35歳のグラマーな人妻がいたり。俺が若いから当然と言えば当然かもしれない。

でも30歳を過ぎた頃から、次第にお相手の既婚女性は年下になっていった。それは2歳年下だったりしたものが、6歳年下、9歳年下、15歳年下というように、どんどん低年齢化していったんだ。そして、20歳年下、22歳年下、23歳年下、とさらに若くなっていく。

道徳的にはとてもじゃないが褒められた関係ではない。不倫以下のただのセフレだったかもしれないし、もっと下衆に性器のまさぐり合いしかしてない関係だったかもしれない。褒めるところが一つもない。バレたら人間性を全否定されても何も言えない関係だろう。でも、既婚女性はみんな楽しそうだった。

そういう関係を持った既婚女性は、ほとんどが今でもつながりがある。もうセックスをすることはないし、会うこともない。でも、正月にはあけましておめでとうってメールが来たり、10年ぶりに思い出してショートメールを一言だけ送ってみればその日のうちに返事が来たりする。

その誰とも、ねちっこい不倫愛を演じたことはない。深い関係は何もないまま、10年ぶりのメールにも返事をくれるっていうことに、何か気づきがあるような気がする。会ってないしセックスもしないので浮気とすら言えないはずだけど、男友達ではない何か特殊な存在としてアキラとの関係を維持しようとしてくれている。

 

30歳頃を期にお相手の既婚女性が年下になっていったのは、そこに何があるのかって今なら説明できる。

 

あくまで俺の個人的な体験なので割り引いて読んでくれて結構なんだけどさ、不倫をする女性には大きく分けて二種類いると思ってる。

ひとつは「自分の夫よりも年下の男と不倫する妻」

もうひとつは「自分の夫よりも年上の男と不倫する妻」

 

前者、自分の夫よりも年下の男と不倫する女は、ほぼ全員、夫の自慢話をする。夫の職業、学歴、年収、家族思いなところ、男らしいところ、決断力があるところ、家庭の中のリーダーシップ、マメな性格、努力家のところ、毎日仕事に打ち込んでいること・・・

それを言われる俺は、「へ~!すごいなあ!俺とは違うなあ!」って必ず言うことにしていた。そうすると、女は満足そうな顔をしてから言う。「アキラはアキラで頑張ればいいのよ」って。随分上からモノを言うわけな。でもさ、俺は素直にその自慢を聞いている。俺は女が自分の夫を自慢するのを聞くのは嫌いじゃない。俺の知らない世界で、妻からの評価が高い男っていうのはどんなか勉強になるしね(笑)

 

じゃあ、なんで不倫してんのって疑問わくよね。自分の夫よりも年下で、夫より能力が低く、夫よりイケメンじゃなく、夫より住んでる世界が底辺寄りの、アキラっていう男とさ。

それは簡単で、「夫に相手にされてないから」

または「夫にほったらかしにされて寂しいから」

あるいは「夫が浮気をしている疑念に苛まれているから」

つまりね、夫より年下の男と不倫をする妻は、たんなる現実逃避なんだよ。現実逃避である以上、そこに感傷的、感情的、そしてウェットな世界観を求めるもんだ。だから疑似恋愛としての不倫ごっこに陥ってしまいがちだ。程度の差こそあれ、どこか恋愛感情を挟むことが多いよね。でもその恋愛感情は本来の恋愛のものではなく、あくまでごっこ遊びなわけだけど。

 

(繰り返すけど、あくまで個人体験であって一般論化してるつもりはないのであしからず。当然例外もあるので参考までに聞いてください。)

 

次に後者、自分の夫より年上の男と不倫する妻の場合。この場合は、病巣が深いと思う。だって、自分の夫よりもおっさんということは、もしかしたら加齢臭もするかもしれないしちんぽも立たないかもしれないじゃない。

これは、実は「出来婚」している女性に圧倒的に多い気がする。出来婚って、あえていうけど、こういうことだよ。

「彼氏と交際していた男性との間に、意図しないまま妊娠をし、多かれ少なかれ悩むけれど結婚して出産することに決めた」という結婚のきっかけのこと。

さらに言うと「彼氏として深い関係になってない状態だったけど、セックスの結果妊娠していまい、話し合った結果結婚することにした」という状況もあるだろう。

当然俺は経験ないけどさ。

この場合、不倫をする女性の多くは自分の夫よりも年上の男を選ぶことが多い。選ぶというか、目に入るんだろうね。だから出会ってしまう。

出来婚のうち、交際期間が一年に満たず妊娠した場合は特にだね。

 

歯に着せぬ言い方をすればなんだけど・・・交際期間が短い出来婚っていうのは、人間関係が成熟していないうちに夫婦関係になってしまうことが多いと思う。人間関係の成熟ってさ、仲がいいってことだけじゃないよね。意見の相違があったり、諍いや誤解があったりして喧嘩することもあり、その上で相手を理解しようとする努力を繰り返して関係が深まっていくことだよ。それは付き合った年数も必要だし、毎日話をするコミュニケーションの量も必要で、自分の内面をさらけ出すっていう質の問題も必要だよね。そういうことで最初は理解できなかったことも少しずつ理解していき、家族になっていくんだと思う。

その当たり前のプロセスがないまま、いきなり子供が出来たという状況が先行して、無理矢理夫婦になろうとするのが出来婚なわけでしょ。もちろんその状況先行でも、しっかり夫婦になり家族になっていく2人もいるよ。でもそれは多くはない。よほど人間的に成熟した年齢の夫婦が出来婚しているのでない限り、遅から早かれ、わがままを言い合いそしてバカにし無視するような関係性に冷えていくよ。

 

多くは未熟なままの2人が結婚するわけだよ。未熟な関係のまま。好き好きドキドキ状態で結婚して、それで家族になれるのなら、この世の中離婚なんかないんだよね。

俺の事務所の昔のスタッフでも沢山見る光景だった。

風俗嬢の一定数は、良い家庭で育っている。高いステイタスの父親がいたりしてね。何かの反抗心で風俗嬢になるわけだけど、こういうのは年とともに反抗心が薄れてくる。そうすると、ある瞬間から実家大好き女に変わる。

そのスタッフの1人は、子供ができて結婚することにしたんだけど、出産する半年前から仕事を辞め、アパートを引き払って実家に帰ってしまった。結婚する夫とは、出産してしばらくしたら新居を構えて一緒に暮らすってことにして籍だけ入れたんだよな。ところがその女は出産後、半年間も実家にいた。子離れできていない親だったから、親が赤ん坊の面倒をよく見てくれて、女は可愛いペットが生まれたくらいの感覚しか育たなかった。

一方、結婚した夫の両親は半年も実家に入り浸る女に疑問を感じ始める。妻としての自覚があるのかってね。未だ一緒に住まず、自分の息子が妻の実家に通っている姿を見るたびに、夫の母は次第に怒りが込み上げてきていた。

そしてようやく一緒に住むことになったんだが、自立できていない女はその新しい「家庭」のなかで「家族」になることができない。気が向けばすぐに子供と実家に帰って食事をして帰ってくるようになった。そのたびに夫は不満があった。疲れて帰ってきても、作りおきした冷たい食事が冷蔵庫に入っているだけ。

そして夫の親や、夫自身と、女は細かい感情の衝突を起こすようになる。女は自立していないので、自分で自分の考え方を表現することができない。何か嫌なことがあると黙って実家に帰ったり、自分の部屋に子供と閉じこもるようになった。

完全に家族になることを失敗した夫婦だった。

子供が1歳になる頃、女はふとしたきっかけで男と出会った。元々が夜の商売をしていたような女だから、見てくれはいい。モテないはずがない。その男は夫よりも12歳も年上の男だった。自分が昔にいたような派手で色っぽい世界の男だった。

女は思った。「自分はこっちの人だったかもしれない」って。自分の知らないことを教えてくれたり見せてくれる大人といるのが自分は好きなんだって、女は思ったんだ。アキラの世界にいたわけだしね。

高級車と、セクシーと、夜景がすごいホテルの部屋と、夜の路地を滑り込むように部屋に入っていく男と女の世界。そこでの圧倒的な学びや居心地の良さ。

夫はいい人ではあるんだけど、トヨタボクシーのカタログを嬉しそうに見たり、テレビのお笑い芸人の真似をしてみんなを笑わせてる姿を見ると・・・ちょっと違う気がしたんだ。

いまさら夫や夫の親に素直になれない自分がいた。でも、離婚するとはありえなかった。そんな卑怯な自分を意識しながらも忘れられる自分もいて、年上の男と不倫関係になるのはあっという間だった。

 

そのスタッフの女は、結婚して7年経つ。離婚はしていない。不倫は6年になる。いつか、不倫相手と一緒に住めたらと夢を見てる。不倫相手とは3ヶ月に一回だけ、子供が学校に行っている間に会う。平日の昼間に、ラブホテル街の一室が自分らしくいられる場所。

「結局」と女がアキラに言う。「実家に半年もいたのは、覚悟がなかったから」

居心地がいい場所を見間違えたから。親に褒められるような真っ当な世界は、自分がいたい場所でもないってことに、気づいていたけど気づこうとしなかったから。

でも

このままいったらどうなるんだろう。って女は思っている。

家を建てる話があって、それは嬉しかったけど、収入合算して一緒にローンを組まなきゃならなかったから、商談の最後に建てないことにして断ったんだ。だって共有名義でローン組んだら離婚なんて絶対できなくなる。

家族でいようとしてくれる夫に申し訳ない気持ちを持ちながら、パート先のトラブルごととかがあれば相談するのは夫ではなく不倫相手だったりする自分がいる。パートの所得税の計算ってどんななの?ってすぐに質問するのも、夫ではない。パスタソースの作り方を訊くのも、夫ではない。

もう家族らしくなれないのは分かってる。でも、夫に感謝もしている。でも、居場所を間違えた自分は否めない。

 

こうして考えると、自慢の夫に相手にしてもらえなくて寂しくて不倫ごっこをするほうがどれだけ健全かって感じるよね。

寂しさを紛らわすような不倫は、熱病のようにいつか平熱に冷めていく。


出来婚が問題なのではなく、人間関係から逃げたまた結婚ごっこをしても先にはろくなことがないってことだよ。