DVは見殺しにしますごめんなさい

俺がこれ言う度に、良識ぶった人が眉をひそめるんだけどさ(笑)また言う。

 

「DVと不倫の相談には乗らない」


特に成人女性の話だけど。

子供の虐待は別だ。

 

おいおい、不倫は自分の都合だから分かるとして、DVの相談も乗らないってどうなのよって顔をされる。人間性どうなのよって。

DV、つまり夫や彼氏からの暴力で悩んでいたとしても、俺は一切関わらないということにしてるんだよね。たとえ血みどろで助けを訴えてきたとしても。ちょっと、悪いけど違う人に頼んでくれるかな?って。

それが友達だとしても、スタッフだとしても、後輩だとしても。たとえ見捨てた結果に死んでしまったとしても、それはそれでいいと思ってる。

 

いや、俺もそういうの助けてた時代あったよ。風俗業の世界にいたんだから。DVなんて日常茶飯事だよ。午前3時に仕事を終えて帰った嬢が、午後4時半には彼氏に腕折られて病院に担ぎ込まれるとかね。その都度俺は心配して、俺の部屋に住まわせたり、彼氏が近づけないようにあちこち奔走して手続きしたりした。

でもねえ、今はそういうのもうやらないんだよ。

 

なぜかって。面倒だから。それだけ。

若かった頃の俺は、正義感で世の中の不正義が解決されるものと思い込んでいた。でも違うんだ。世の中はそう単純ではない。

例えばDVは、悪意とか敵意で暴力が起こるのではない。敵意で始まる暴力は世の中にそう多くはないんだよね、実際。DVのほとんどは、共依存から始まる。共依存。読んで字のごとくで、夫と妻、彼氏と彼女、父親と娘、母親と娘の関係で、両者が完全に依存し合ってる状態のこと。

これ、恋愛経験が貧弱な人には分からないんだが、恋愛経験が少ない人にこそ起こりやすい精神病理なんだ。ラブホテルの名前じゃないが、ふたりぼっちの関係に極度に依存する。自分と相手の境界線がなくなり、自分が知らない相手の世界を見ると激しく動揺するんだ。たとえば、自分の知らない友達が出来たとか、自分の知らない職場の人と話をしているとか、自分が好きじゃない人と話をしてるとか、そういう自分の知らない相手の世界を見ると恐怖に慄く。そして激高する。

共依存っていうのは、二人間の関係だけではなく、友達グループでも、家族単位でも、職場の派閥でも、同じ事起こりやすい。

恋愛感情や夫婦関係の時は、自分達以外の世界=浮気という敵対関係があるし、

友達、家族、職場の派閥では、何か共通の敵を設定していることがほとんど。上司とか会社とか、除け者にした友達とかね。共通の敵とか、あってはならない道徳規範みたいなものをぶち上げて、お互いの行動を縛り合う。お互いが最初は安心感の中で暮らすんだけど、そのうち、どちらかの世界が広がってしまう。

 

そして暴力が起こる。身体的な暴力もそうだし、経済的な暴力、言葉の暴力、支配の暴力、無視などの関係性の暴力、いろいろね。

(厳密にはDVだけでなく、ハラスメントと呼ぶべき状況もあるが、いずれにしても暴力には違いない)

 

DVをしている側は、しつけとか愛情、気づかせるため、などと思いこんでいる。

DVを受けた側は、苦痛のせいでその場を逃げ出してしまう。その時相談をする相手が問題でね。

その時に知り合ったばかりの友達や彼氏、職場の同僚や先輩という身近な人になるんだ。相談された相手はびっくりする。そんなのありえないと。だから、そんな彼氏とは別れたほうがいいよとか、旦那さんと離れて実家に非難したほうがいいよとか、必死にアドバイスする。旦那さんが仕事に行ってる間に荷物まとめて実家に帰ろう、俺が車で乗せていくから、って男友達が色々してくれようとしたり。

もちろん、最初はその通りにするかもしれない。

でもね、ダメなんだ。DVの根本は、共依存だと言っただろ?共依存の世界をナメてはいけない。

出て行かれた夫や彼氏は、泣きながら土下座して謝る。俺が悪かったと。

それを見た妻や彼女は、暴力さえなければこの人はいい人なんだと思い、許す。許すのではなく、この人がいなければ自分は生きていけないって心の底では思っている。だから元に戻る。

一方で、心から心配して、この女性が正しくいい人生になるようにと思ってあれこれ手伝った友人たちはあっけなく捨てられる。

 

俺も経験がある。夜中に助けを求められて迎えに行き、実家に送り届けた。実家の前に置いて帰って、ふと思って一時間後に夫の家の前に行ってみると、その女が平気で戻っているのが分かった。

まだ20代の頃だったからね、俺も。びっくりしたよ。そしてこういうDVの相談っていうのは「ノロケ」なんだと気づいた。

ノロケのために人を巻き込むのが、DVの被害者なんだよね。

結局、DVの被害者って人生は変わらない。必ず元にあった心地いい共依存の関係に帰っていく。

 

当時、俺の事務所にいたスタッフがね、みんなの心配を裏切って元に戻った時にその女に言ったことがある。

「本当に助けを求めたんじゃなければ、みんなに謝って」

女は平気な顔で言った。

「ごめんなさい。みんなに迷惑かけるのでもう心配してくれなくてもいいです」

その時、そこにいたスタッフ全員が血が沸騰するのが分かった。

てめえとか言いながら掴みかかる女性スタッフもいたので、俺が必死に止めた。DV女が言った。「みんなそうやって私を殴るんですよね」

女はそのまま消えた。二度と来なかったし、その後俺がきっちり解雇した。DVはその後も続いていたと思う。

スタッフの中には何年たっても、あいつ殺すとか言ってるやつもいたくらい、周りを怒らせた女だった。

 

DVが共依存から始まるってことを知識として知らないと、DVの相談に安々と乗ると必ず馬鹿を見る。何か職業として対価をもらってDV相談に乗るのではない限り、俺はDVの相談に乗るのは馬鹿だと思ってるよ。共依存という目に見えないものを相手にして、1人ピエロになるだけだから。

 

共依存DV女は、その後の人生は絶対に上手くいかない。決まった一つのレールに乗るんだよ。

25歳までの間は、真剣に心配してくれるまともな大人が周りにいる。職場の先輩もだし、男友達もだし。

でもDVの相談で一度失敗すると、一気にまともな大人が周りから消える。

そして30歳を過ぎた頃になると、DVの相談をする相手は、「出会い系サイトで知り合った男」みたいにレベルが下る。

出会い系の男は、相談に乗ることで親しくなれると思うような未熟なおっさんだったり。あるいは、年下の何も知らないモテないガキとかね。

しかしそれすら裏切る。

40歳を過ぎた頃には、すっかりメンヘラで。スケベそうな車の営業マンとか、損保の手続きした営業マンのおっさんとか、そういうのをひっかけて相談するけど、結局不倫で。不倫とDVのダブルノックアウトで、こてんぱんにやっつけられる。

共依存だった夫もいなくなり、親からは縁を切られ、精神科に入院して逃げるしかなくなる。

 

DVというより、共依存を自分で断ち切らないかぎり、DV被害者は何度でも虐げられる。