歩合制で末端労働者を働かせるな

10代の終わりに、俺は夜の世界でクソくだらねえ仕事をしていた。金はふんだんにあったが、それでも俺は時々、同じ年の大学生がやるようなアルバイトもしていた。スーパーの青果売場とか、興信所とか、まあ色々やった。

その中で、ティッシュ配りとかチラシのポスティングっていうのもあった。ポスティングっていうのは、集合住宅なんかのポストにチラシをぶっこんでくる作業だよ。宅配ピザ屋とか学習塾、ハウスメーカーの見学会とかのチラシ。これ、結構大変なんだ。団地なら下の入り口に集合ポストがあるからさっさと終わるんだけど、普通の4階建てのアパートとかだと、いちいち階段を昇ったり降りたりしなきゃならない。スニーカーにTシャツで、首にタオル巻いて真夏の住宅地で仕事してたっけ。(ポスティングの仕事はたまに依頼されてやることがある。超絶アナログなマーケティング手法なんだけど、意図的に使うと結構効果があるのが不思議)

 

で、前置きが長くなったけど、こういうポスティングのバイトって、一枚2円とかの歩合になってることがあるんだよね。1枚2円×3枚セット=一世帯6円。500世帯に配布して3000円・・・笑

500世帯に配布って、2日はかかる。日当1500円。

チラシの枚数がたくさんあれば単価は高くなるけど、そうもいかない。元請けの会社はいいんだ。料金を調べたら一世帯ポスティング7円とかで、5円はピンハネできる。2万枚請け負ったら、売上14万円、バイト達に数千円ずつ合計4万円渡して、粗利10万円か。

それで、18歳のアキラ君にはクソくだらねえ計算に思えて、結局ひと夏やって辞めた。それを客のおばちゃんとか、店の同僚の女の子に離すと結構ウケるわけ。ネタとしては良かったけど。

あの時、バイトで真面目にポスティングしているのは俺だけだったような気がする。バイトしている仲間の主婦は、数十枚適当にまいたら、ゴミ袋に入れて捨ててるって言ってた。それで3000円なら美味しいでしょって言って(笑)

まあ、そんなことにはなるよね。

 

ずっと大人になってこの時のことを思い出すんだけど、ここに学びがあるなーと思う。

それは

売上単価に連動した報酬で末端労働をさせると、必ず場が腐る。

ということ。

こういうの平気で今もあるんだよ。例えば牛丼屋。店員どころか店長も非正規、その管理職も非正規なんて会社があって、店長など管理職の報酬は牛丼一杯あたりの粗利率で左右されていたりする。

例えば、生命保険や車の営業マン。歩合給と言うと聞こえはいいけど、実態は歩合のい商品を客の意向を聞くふりをして押し売りできなければ給料は増えないわけだよね。

ほんと必要がない保険を悲壮感漂わせてセールスしてるの見ると気の毒でしかない。

しかも一定の期間に売上が低迷すると、平気で解雇されるみたいだ。

営業マンはどこの業界もそうだけど、本当に客のことを考えている人は、業績に苦しんでいたりもする。客のことを思いながら売上もあげるスキルや考え方を教える風土がないからだ。

こういう単価に連動されて、現場の末端作業員をさせると、そこは無関心と無責任で満ちた地獄になりやすい。

よく、俺がお世辞にも日の当たる商売をしていたわけじゃないのに、スタッフ達が辞めたあとも楽しそうに絡んでる姿を見て、なんで?って不思議に思う人がいる。

まあ、俺は歩合制の給料にしなかったからだと思う。もちろん経営者の俺は歩合で当たり前だよ。でも経営者に雇用されたり契約しているスタッフは、どう言い換えたって末端労働者なわけだよ。そこに歩合を持ってくるのは好きじゃないので、基本的に固定給にした。たぶんそれだけの話だと思う。

歩合だったらもらえない額の給料だよ。ということは、経営側の取り分は圧倒的に少なくなる。でも、いいことがあって、場が腐りにくい。もちろん腐っていく人間もいるけど、それは職業観や人間性を指導したうえで改善がなければお引き取り願うまでの話。

結果、会社への無関心はなくなったし、不正も激減した。スタッフが弁護士連れてやってくるとか、そういうのもなくなった。

若い頃、完全歩合の業務委託契約で他人をこき使っていた時代、横領はすげえわ、傷害事件はあるわ、スタッフが群れて集団で飛ぶわ、まあすごかったww

女の金をピンハネしてるくせにって文句もすげえww

 

綺麗事だって言う人もたくさんいたよ。末端労働者は低単価でこきつかってやればいい、気に入らなきゃ代わりはいくらでもいると言う人のほうが多かった。

別に俺もいい人になりたいわけじゃない。お花畑に住んでるわけじゃなくて、俺も稼ぎったかっただけ。遠回りだけど、明日の金を心配しなくてい環境があれば必死に働く人間が多い業界だったから、そっちのほうが儲かるだろと思っただけだよ。

末端労働者に歩合制をやりはじめると、絶対に場が腐る。歩合でいいのは、経営者と一部の超絶優秀な社員だけ。そいつらは年収5000万円でも稼げばいいけど、能力が人並みでしかない労働者は絶対にそうはならない。一部の特殊な事例を一般論にして、夢を煽って歩合の労働をさえると、最後は場が腐って誰もいなくなる。

営業でも経営でもネットワークビジネスでもなんでもいいんだけど、誰でもできるような気がするしそう言って煽られるんだけど、誰にでも出来ないよね。実際。能力が半端な人間は、犯罪的なことをして稼ごうとしたり、能力が低い人間を食い物にしようとする。

歩合や時給や日当の報酬は、俺は自分の首を締めるだけだなと思ってる。非正規も同じだ。非正規が場に増えると、やっぱり最後はズブズブになるよ。

 

2万円しか利益がない仕事だったら、2万円全部が人件費になる。

100万円の利益が出て初めて、人件費払っても利益が出始める。

当たり前の話だと思うんだけど、当たり前じゃない光景がほんと良く見られるよ。

2万円の仕事を歩合とか言ってスタッフと分け合ったりするから、おかしくなるんだよね。繰り返すけど、スタッフは経営者よりどうしても能力が低いんだから。

 

大企業や立派な会社はどうか知らないけど、俺みたいな底辺野郎が生息する場所では、人の扱いを間違えるととんでもないことが起きるんだよね。