お金を使わないことを褒める人、褒められたい人の生きづらさ

おっさん達がこんなことを言ってる光景を10年くらい前からよく見る。

「最近の若者は女と付き合うことに興味がないらしい。傷つくのを恐れてるんだろう、草食だ」

「最近の若者はセックスをしないらしい。自分ひとりでいる時間を優先させるらしい。草食だ」

「最近の若者はクルマに興味がないらしい。軽自動車に平気で乗っている。草食だ」

 

セックスとクルマに興味がないから草食だ、俺が若い頃はセックスしまくってクルマもバンバン乗り換えたぜ!っておっさんは口をそろえて言うよね。

 

・・・ウソつけ、おっさん。

 

まず全力でそれを正すと、おっさんは若い頃もモテてなかったのでセックスしまくったなんて嘘。いつの時代もモテない男はモテない。圧倒的多数の男は、モテまくる男に嫉妬して惨めな若者時代過ごす。

クルマもバンバン乗り換えたぜって、中古車をローンで買っただけで、高級車を次々乗り換えた経験などない。圧倒的多数の男は、高級車乗ってる同世代の男に嫉妬して、だからクルマに興味があった!と言う。(嫉妬してるからって、興味がないと言うのは恥ずかしい時代)

 

おっさんが過去をすり替えて違うものにしてしまうのはいつの時代も同じ。証拠に、おっさんは同世代にそういう話はしないんだよ。なぜならバレるから。

モテない若者が経年変化すれば、今の若者だって必ずそうなるわけで。おっさんになればそういうこと言いたがるもんだ。

 

俺だって18歳のときに、40歳のおっさんが俺に説教してたよ。

「俺が若いときは貧乏だったから寝ないで働いたけど、お前らはすぐ休むことばかり考えてる。」とか

「女と友だち気取って性欲ないのか、断られることを怖がってんだろ?」とか。

今とさほど変わらない。

その時も俺思ってた。嘘つけ、お前やってないだろと。やれもしないこと俺に言う心理って、俺想像つくぞと。

 

若い人はこれ分かっておいたほうがいいんだけど、おっさんにはレシピってもんがある。こう人生を調理すれば、こういうおっさんが完成するっていうレシピ。

 

まず、事実を言うとね。

バブル時代の武勇伝を語るおっさんは、バブルの渦中にいたことがない。

若者がセックスに興味がないと言うおっさんは、若い頃モテたことがない。

若者が残業を嫌うのはけしからんと言ってるおっさんは、会社で昇進できてない。

若者が草食だと言うおっさんは全て、若い頃はヒエラルキーが下の階層にいた。

ということ。

 

残念ながら、20歳のときに本当に遊んでいたおっさん達は、今も絶賛遊んでいるので若者がセックスしてるとかしてないとか興味ないよ。本当にどうでもいい。

俺は知っての通りちんこから血が出るほど遊んでいたし、同時にありえないほど長時間労働をし丸一日休むこともなかった。そのせいか分からないけど、若い人の生活なんて興味ないんだよ。好きにしたらいいだろと思う。

セックスをするしないなんて性格と関係ないし、残業とか長時間労働はクソで犯罪だと思ってる。クルマを欲しがるかどうかって、別に性格と関係ないでしょ。現にバブル末期の新宿にいた俺ですら、現在クルマに興味が全くないわけで。

 

まあ、おっさんが言うことなんて、そんな惨めな背景があるわけ。惨めな思いを繰り返しては何も考えないで生きてしまえば、おっさんになったら、誰でもそういう人間になる。

 

でもその一方で、おっさんが何を言おうが関係なく、今を生きる若い人が「生きづらさ」を感じるのも見てる。たしかに、さえないおっさんが言うように、元気がなく見えることが多い。

実際、自動車販売店の重要な客層は中年世代だし、ラブホテルの利用者も中年世代だと思う。クリスマスイブに高級ホテルを予約して泊まったことがあるが、30年前と違ってフロントには中年カップルばかりいる。(昔は、彼女がいなくても真夏に高級ホテルを予約し、それまで彼女を作るのが若い男の夢だった)

 

そういうことに興味がないから元気がないとは言わないけど、それとは別にして違う価値観が台頭しているんだと思う。お金を使うところがおっさん世代と違うだけで、コミケに行けばオタクは散財するし、バイト代を貯めて海外旅行を繰り返すJDも知っている。そんな人達は、それぞれの価値観で楽しんでいるよね。

その一方で、どうしても苦しげに見える若者のほうが目立ってる気がする。

人目をものすごく気にするし、人と揉めないように神経質になる、無神経と言われることを恐れていて、コミュ力がないと言われるとしばらく凹む。

「資産運用」「投資」なんてものに興味を持つ子が極端に増えていて、それは単純に社会が不安だから蓄財しようっていうモチベーションではないようだ。運用成績や金利に敏感なのはいいが、そもそもの家計のキャッシュフローには無頓着なんだよね。住宅ローン抱えてるくせに、それよりも低い金利金融商品を比べてうんちくを語る。住宅ローンを繰り上げ返済するほうが、金利に引き直すと投資効果はいいよと教えても、そうじゃないわけ。蓄財やキャッシュフローが目的じゃないからだろう。

きっと、他人からの評価とか、自分という存在の自己実現とか、同世代の中での座標とか、そんなものがモチベーションになってるんだと思う。そこでは「スキル」とか「知識」とか「経験値」とかを「評価される」ということが大切になってしまう。

生きづらいから意識高い系の行動をしたがる人もいるし、生きづらいから元気なく過ごしている人もいる。でも根本は似てる。

 

これって何故なんだろうっていつも思っていた。

金がないんだろうか?と考えたこともあるが、実質GDPもバブルだった1988年よりも2018年4月のほうが1.45倍になっている。購買力平価GDP(米国ドル)も1988年から伸びている。社会はもっと豊かになっているはずなのに、生きづらいのは雇用に不安があるからと言う人もいる。でも雇用に不安といっても、自営業の人でもなければ多くの人は生活苦になるほど収入は乱高下してない。一定の収入があって生活をそこに合わせれば食っていくことはできるよね。昔よりも家計の支出が増えているという人もいる。通信費やガソリン代とか。でも昔よりもはるかに安くなってるものも多い。20年前、俺の営業車(トヨタ)のガソリン代は月に8万円だったが、今の営業車(トヨタ)では25000円程度。距離数が少なくなってるのもあるが、それは月に数千円払ってネットで済ませることが増えているから。仕事の支出は劇的に下がっている。もちろん人によるが、自営業者ですら支出が増えている現実はないと思う。

でも、お金がないと思うのは現実のようで。

 

それはなぜか考えてみたら、たぶん、俺のような世代のせいなんだと気づいた。

今の40代後半から60歳くらいまでの「現役の親世代」は、それより前の世代と違って、世の中が下降していく空気の中で若者時代を過ごしてきたんだよね。別に本当に下降してきたわけじゃない。就活は氷河期とかあったけど、食うのに困るとかアパートを追い出されるとかはなかった。物が売れないと言っても、売れなかったわけじゃないし、景気のせいにしたがるけどそんなマクロ経済で語れるのはトヨタ自動車だけだったはず。下降していく空気だけが先行していたんだよね。

 

すると、俺の世代が子供世代に教えたことはなにかっていうと、「お金を使わないようにしなさい」ということ。もちろんそれは愛情からだ。お金に困ることがないように無駄遣いはやめて貯めなさいって躾けられた。

そこに世の中の同調圧力も加わってくる。世帯の平均貯蓄額みたいな調査結果がテレビで報道されると、平均にも届かない自分に焦り始める。みんなもっと貯めてるんだ、自分はダメだって思い始める。それが恐怖感や劣等感にも繋がる。

そうして、お金の扱い方に、過剰なルールが課されていく。

お金の貸し借りはダメです、デートでも割り勘がマナー、クレジットカードは悪、贅沢は敵、なんてね。

 

ちょっとイメージにないかもしれないけど、こんな「エロいアキラ師」が小学校にセミナー講師として呼ばれることがある(笑)ボランティアなんだけどね。

親世代や子供達に金銭教育の出前授業をすることがあるんだよ。もちろん真剣に取り組んでるんだけど、きちんとスクリプトと資料が用意されて、決まった内容を繰り返す。

そこで話題になるのが、「修学旅行のお小遣い」のこと。

親世代がすごく自慢するのが、「うちの子は、修学旅行のお小遣いを使い切らないで残して帰ってきます。それを貯金しています。」ということ。

まわりは、えらーいってまるでコウペンちゃんみたいな反応をする。

たしかに、俺でさえ、しっかりした子なんだなと思ってしまうんだが、よく考えてみると、ああここなんだろうなと感じる。

俺が教えるプログラムの中でも、親向けにこんな一節が出てくる。

「大きな買い物を子供にさせるときは、新品をすぐに買いに行くのではなく、ネットで比較サイトを見てみたり、ネットオークションやリサイクルショップなどで中古品を選ぶこともアドバイスしましょう」

普段の俺だったら絶対言わないことを、まあ仕事なので言う。するとこれも親世代には響く。そうよね~、いいこと聞きました~ってね。よくこんな人妻とセックスばかりしてきたアキラの言うことに感心するわと思いながらも。

 

こういう親世代の強迫観念とか危機感みたいなものが、節約を美徳とする風潮を作り、お金を使うことは恐怖という発想につながってきたんだと思う。この30年位の間に。

だから、節約をする人間、貯蓄をする人間、投資に興味がある人間は、評価されるべき人間というマインドセットがなされたんだろう。

逆にそうじゃなきゃ、責められるべきだらしない人間だと。

Twitterなんかでも、人気ある創作ツイートは、年収億単位の金持ちでもお金を使わず質素に生活しているというもの。オレ個人ではそんな人は1人もみたことがない。金の使いみちはそれぞれだけど、お金を使わないことを美徳とする人間で成功した人は見たことがない。

 

おっさん世代、特に今の40代で優秀なやつらの金銭感覚ってどんなかと言うと、多くは貯蓄とか資産運用に無関心。有り金は使い切るっていう感覚が多いよ。

だから、22歳で手取り月収20万円だとしたら、貯蓄に励む今の22歳とかつての22歳では使える額が違う。当たり前だけど(笑)そしてその使い切る金は、「形の残らないもの」に使った。しかも人と楽しむためのもの、デートとかプレゼント、旅行、そして一番多いのは無駄遣い。

俺もそうだったけど、一番良かったのは何に使ったかも分からない無駄遣いだったと思う。女の子と遊びに行って、スイーツ食べに行ったら食べたいのが2つあって、迷ってるからどっちも頼めよって言う。全部で三個テーブルに並ぶ。そんなに食べられないよって言うけど、残したら俺が食べるからって言う。結局女の子が2個食べるんだけど、罪悪感ありそうで満足した笑顔を見せる。そんな無駄遣いを貯金もしないで、しかも金がないときは借金までしてやってた。(当時のサラ金金利は年利28%)

美化する必要がないので言うが、貯金ゼロ。そんなこと言うとバカにされるし武勇伝にならないので言わなかった。もう不景気に入っていたので貯蓄に励んでいるやつも多かった中、俺は一円も貯金なし。バレたら馬鹿とか無計画とか言われていただろうなと思う。実際ホームレスにまでなった(笑)ま、ホームレスの件の遠因だって無計画な金の使いかただよ。

 

今も、保険以外の金融商品は買ったことがない。財形貯蓄とか定期積立とかしたことがない。投資もしたことがない。仮想通貨とか不動産投資とか一ミリも覚えたいと思わない。まあ、貯金もしてなかったから運用する金がなかったんだけど(笑)

もちろん否定はしない。子供が障害者だったりして一生金に困らないようにと、父親が収入の自動化を構築した人がいた。でも必要性ってそれくらいのもの。ちまちま小銭増やして悦に入るより、普通に働いたほうが収入増えるよ。10年運用して200万円が250万円になりますっていうより、副業で毎月20万円稼いだら、10年で2400万円増えるよ。20年で4800万円。老後に必要な貯蓄をはるかに超える。

まあ課税はされるんだが、そこも工夫次第であって。

小銭をため込んで使わないで死んでしまうなら、もっと稼いで激しく使ったほうが人生楽しい。

時間を売らないで稼ぐ副業なんてアイデアはたくさんあるし。そっちやれば人生変わるだろ。本業の昇給なくても人生楽しい。

まあ、そこが重要じゃなくて、ボク知識あります、金融詳しいですって言うほうが格好はいいけどね。それも理解できるけど。でも所詮ド素人でしょとも思う。他人の金を運用して始めてプロであって。せいぜい奥さんの貯金で金融商品買ったくらいで投資気取りはかっこ悪いよ。

 

貯金なんてしなくていいから、有り金使っても怖くないよなんて、言うのはタブーだろうね。金使って経済回して、自分は無駄な経験値増やして、また金稼げるようになってってそんな生き方は現代でもできるけどな。

 

親世代の強迫観念と安心感に迎合していると、これからさらに生きづらくなっていくと思うよ。

おっさんが若者を草食だとバカにするのとは違う目線で、もう少し気を楽にしたほうが人生楽しめると思うよ。