好きを仕事にしてもしなくても、どうでもいいよ

「好きなことを仕事にする」的な議論って昔からあるよね。

 

好きなことをするから苦労にも耐えられるとか、嫌いなことは絶対に好きになれないから仕事にしてはいけないとか、そもそも仕事に楽しさを期待するとか甘いんじゃないのとか。

 

実は、そんな議論は全部意味がないんじゃないのかなと思ってる。

 

俺は23歳の時に起業した。夢は「お金持ち」だった。

当時何度も読んでいたのがヴァージングループの創業者、リチャード・ブランソンの自伝だった。別にリチャード・ブランソンに憧れたわけじゃないけれど、ありえないほどスケールのでかい成功をしたかったんだ。

 

起業とは言っても、平たく言うと色んな金儲けに手を出した。きっと俺の中のコンプレックスがそうさせたんだと思うけど、「まともなひと」と思われるようなビジネスばかり選んだ。詳しくは言えないが、大手企業の代理店だとかね。学歴がないから人に一目置かれるスタンプラリーみたいな商売の選び方をした。

 

でもどれもこれもうまく行かない。不真面目だったわけじゃない。早朝から深夜まで働いたけれど、働けば働くほど経費でお金が消えていくだけだった。結果が付いてこない。食べることにも事欠くこともあり、もし友人がこんな状態だったら「人生を大切にしろ、就職しろ」と絶対言うはずだ。

 

お金って、手に入れるのは難しいだなとか

仕事をする能力が俺にはないんだろうなとか

ずっとそう思っていた。

 

誤解がないように言うと、お金を稼げないだけでそれぞれの仕事ではそれなりに有名にはなれたんだ。販売数とか新しい企画とか、いろいろ目立つトピックはあったので勉強会の講師として呼ばれることは数多くあったよ。

でもね、澄ました顔して実はお金を稼げなかった。売り上げをそのまま経費にする自転車操業で、俺は経費をちょろまかしてカロリー摂取をして生きているだけ。

 

どうしても食えないので、食うために始めた仕事が風俗業だった。その世界の住人だったので馴染みが深かった。別に特別なノウハウがあるわけじゃない。

こんなことをしたら、こんな風な売り上げが立つよね?っていうそれくらいの知識。

 

本当はそんな仕事はしたくなかった。その世界からは卒業したつもりだったから。

 

でも残念なことに、エロ関係の仕事では挫折を経験したことがない。その仕事は開業してすぐに売り上げが立った。すべてが順調だった。

 

しんみりしてしまったのは、1000円すらなかった時代を経験していたので、財布に1000円札が何枚も入っているのを見た時に、「こんなハシタガネで惨めな思いをしていたのか」と思った時だった。


情けない。

 

それでも俺はエロの仕事を自分の中で軽く見ていた。本業のほうも一生懸命やった。明け方まで夜の仕事をし、仮眠してからまた昼の仕事に行く。

きっとね、昼はしっかりと休んで、夜の仕事に集中したらもっと大きくお金を稼げたと思う。でもやっぱり俺は商売のセンスがないんだろうね。昼の仕事は相変わらず経費ばかり使って手元に残らず、同業者からチヤホヤされることに時間と体力を費やした。そんなの辞めてしまえばいいのに。

 

きっとエロの仕事をする自分が恥ずかしかったのだろう。

 

そのうち、昼の仕事で大きな失敗をしてしまった。とんでもない額の借金を個人で抱えてしまい、昼の仕事は破綻した。

昼の破綻のせいで、夜の仕事も失った。

そしてホームレスにまで転落していった。

それが夏のことで助かった。冬なら死んでいただろう。

 

ホームレスになってまで、俺は昼の仕事を諦めていなかった。本当にダメの見本だよ。

 

結局、極貧から救ってくれたのは、再び夜の仕事だった。

そうだな、夜の仕事じゃない、エロの仕事と言おう。

 

エロの仕事はまた初日から俺の財布にお金を入れてくれた。毎日毎日、必ずお金を稼げた。失意のどん底で嫌々働いていたけれど、俺はエロの才能に恵まれているんだろう。そんなひどい状態でも何一つ失敗したことがない。

 

いや、失敗がないわけじゃない。うまく行かないことは多々あっても、その日のうちにリカバーできる。宵越しの失敗は持たなかった。次の日にはまた成長のアップトレンドに乗せることができる。

その嫌々する仕事でありながら、努力する自分という姿を客観視するより先に成功がやってきた。

 

エロの仕事では、俺は有名人にならないように気をつけていた。昼の仕事に影響があるので名前を出すことを避けていたんだ。だから10代の頃からの源氏名を使って仕事をした。

ホームレスまで落ちた経験がありながらなお、それでもこそこそとしていた。

 

人生のあらゆる危機を金銭という形で救ってくれたのは、すべて、このエロの仕事だ。

 

これが俺の才能であり、宿命であり、天命であるんだと受け入れられるようになったのはつい最近のことだよ。

 

いまでもエロの仕事を楽しいと思ったことはない。でもきっと楽しいのかもしれないな。そういう感性を持つことを今も避けてる。

 

当たり前のことだけど、結果を出せる仕事は楽しい。結果を出してもお金が残らないと苦しくなる。

結果を出してお金が残れば、絶対に楽しい。人生も変わっていくし、将来の夢も持てる。

 

最初の話に戻るけれど、楽しいことを仕事にするとかしないとか、どうでもいいことだよ。

 

お金が残る仕事なら、一日も早く好きになりなさいと昔の俺にアドバイスしたい。

 

お金目的の結婚をした女性の気持ちに近いのかもね(笑)

でも、幸せだよあなたは、と言ってあげたい。お金を稼いで豊かな生活をさせてくれる男性を、素直に好きになりなさいよって思う。

それと似てる。

 

好きだから苦労できる、なんて美しい話で人生を無駄にしちゃいけない。

 

仕事も、結婚も恋愛も。